旅立ちの日に


暖かな春風が吹く今日という日に、
6年生たちが小学校を巣立っていった。


思い出してみれば、今の「学校図書館司書」という仕事に就いて
初めて絵本の読み聞かせをしたのがこの6年生たちだった。
何を読めば良いのか、思い悩んだ末に、
自分の好きな作家である椎名誠さんの映画を思い出し、
スーホの白い馬』をブックトークと共に読んだ。
その時にじっと聞き入ってくれたのを今でも覚えている。


思えば、小学校の職場に初めて来てまだ慣れない最中、
初めて一緒に掃除をしたのもこの6年生だった。
初めて委員会活動を一緒にしたのもこの6年生だった。
叱ったこともあったし、
思いがけない活躍を見せてくれたこともあった。
絵本を読んで楽しんでいる笑顔を見せてくれて、
逆に癒されることもあった。
一番早く全員の名前を覚えたのもこの学年だった。


そんな6年生たちが今日巣立っていった。
初めて図書の時間をしたあの2年前よりも、
見違えるような成長を、今日の卒業式で見せてくれた。


けれど、成長したのは子どもたちだけじゃなかった。


2年前、オレは何も知らなかった。
学校図書館司書として何をすべきなのかも、
小学校で子どもたちを相手に何をすべきなのかも、
何も知らなかった。


色んな失敗もした。


色んな後悔もした。


けれど、それでもこの6年生たちは、
こんな未熟者にも愛想を尽かさず、慕ってくれた。
色んなことを学ばせてくれた。


絵本を読んで、笑ってくれた。


今日と言う旅立ちの日に
小学校を巣立っていく6年生に、
ただ一言だけ伝えたい。


ありがとう。