言葉の力


内田樹先生の、


こんな日本でよかったね─構造主義的日本論 (木星叢書)

こんな日本でよかったね─構造主義的日本論 (木星叢書)



を一気に読み終える。
今回の著作も大いに脳を刺激される内容でした。
特にのっけからの言語論を扱った3篇、
学校現場で「言葉の力」が大いに謳われる最中、
非常にタイムリーなテーマであり
なおかつ「言葉の力」の捉え方が正鵠を射ていて、
思わず唸ってしまう。
その一部をここに引用させていただくと、




強い言葉があり、
響きの良い言葉があり、
身体にしみこむ言葉があり、
脈拍が早くなる言葉があり、
頬が紅潮する言葉があり、
癒しをもたらす言葉がある。
現に、そうやって読み手聴き手の身体を
動かしてしまうのが「言葉の力」である。
言葉には現実を変成する力がある。
そのような言葉に実際に触れて、
実際に身体的に震撼される経験を
味わう以外に言語の運用に通じる王道はない。



(中略)


論理性を身に着けるためには、
論理の運びが美しい文章を
浴びるように読む以外に手だてはない。
「力のある言葉」を繰り返し読み、暗誦し、筆写する。
国語教育とは畢竟それだけのことである。


(太字は台風516号)


「言葉の力」が語彙の多さや自分の中に書くべきものがあるかないか、
ではなく、「言葉の力」とは単なる体験に基づく身体能力、
というスポーツとなんら変わりないことだということ。
たくさんの文章に触れることで「文章を書くための身体感覚」が養われる。
これって今の学校現場では瞠目に値するんではないだろうか。
だってウチの学校だって「言葉の力」が無いから
もっとたくさん文章を書かせたり日ごろか短い文章を書いたりしよう、
って流れになってますぜ。
この本、今度教務の先生にオススメしてみようっと。