探検記の面白さ


明日は小の校外学習。
1度目は雨で延期、2度目は新型インフルで休校。
いよいよ明日は3度目、しかも明日行けなかったら延期ではなく中止。
頼む…明日は晴れてくれ…!(※有給とりたいから)


話は変わって、今、


さまよえる湖 (1980年)

さまよえる湖 (1980年)


を読んでいる。
この間、元・弟部屋書斎化計画の際に、
本の整理をしていたら出てきたもの。
多分買った理由は椎名誠氏が著作で絶賛してたからだ。
でまぁ取り急ぎ読む本も無いので試しに読み始めたら、
面白いんだなこれが。
当時の探検の苦労とかよりも、克明に描写される
楼蘭やその周辺の砂漠の情景、
さまよえる湖に沈み行く太陽の美しさ、
砂漠の只中で古代の墓場を発見した時の喜び、
そして古代に想いをはせる時の著者の空想、
それらの文章そのものが古風ながら美しく読み応えがある。


例えば、砂漠にて若い女性のミイラを発見し、
一晩そのミイラの棺を夜光に照らし出した場面では、



われわれは道の若い女性を一夜だけ棺に入れたまま星の光を浴びさせた。
夜風が彼女の青白い、いくらか黄色がかった頬と、手幅ほどの長さの髪の毛をなでた。
ほぼ二千年もたつあいだにただ一夜だけ、彼女は墓から起き上がって世間へともどってきたのである。
しかし今は彼女は干からびたミイラにすぎなかった。
そして彼女が短い生涯を送った土地は、彼女のまわりに黄灰色に荒涼として横たわっている。
帰ってきた水も、彼女が生前に見た森や庭や公園や畑にまだ新たな生命を呼び起こすことはできなかったのだ。


砂漠の静かに風が吹き星が瞬く夜、そしてその夜に静かに横たわるミイラ。
ミイラが生きていた古代のまだ美しかったこの土地の風景も
二千年というはるかなる悠久の時の長さにより砂漠と化し、
同時に美しかった女性の亡骸もミイラと化してしまった…
こんな風に古代と現代が渾然一体となって感じられる描写が面白い。
いやはや、本の整理で思わぬ発見です。
というか椎名誠ファンだったら『さまよえる湖』は必読書だろ、って話ですが。