名作を読んでもらうのは難しい


朝起きたらすんごい筋肉痛…一日中体が重かった。
そして今は肩〜背中の上の方に痛みが。
う〜ん…知らぬうちに左足をかばっていて、
その分他の部分に負担がかかってたんだろうか?


閑話休題
このところ図書室では







が良く動く。
『読書がたのしくなる!ニッポンの文学』というシリーズで、
太宰治菊池寛宮沢賢治芥川龍之介など
いわゆる日本の名作が収められている。


ともかく日本の名作を読んで欲しい、
それも日本人なら誰もが知っている名作を、
という思いは学校司書なら誰もが持っているけど、
いかんせん子どもの手は名作に延びにくい。
ウチの学校には、



『少年少女日本文学館』シリーズがあり昨年度
ブックトークで高学年にプッシュしたけど動かず。


また、今年度は青い鳥文庫の新装丁ものも入れてみたが、


赤毛のアン (新装版) (講談社青い鳥文庫)

赤毛のアン (新装版) (講談社青い鳥文庫)


リトルプリンセス-小公女 新装版 (講談社青い鳥文庫 94-5)

リトルプリンセス-小公女 新装版 (講談社青い鳥文庫 94-5)


など外国文学は良く動くが、


坊っちゃん 新装版 (講談社青い鳥文庫 69-4)

坊っちゃん 新装版 (講談社青い鳥文庫 69-4)


はほとんど動かない。
これはまぁ『赤毛のアン』や『小公女』の方が
装丁がかわいいからかもしれんが、
それでもブックトークをしてもやっぱり動かない。


そんな中、ダメ元で入れた『読書がたのしくなる!〜』が
何故か良く動く。特に今、4・5年生がよく読んでいる。
4年生では予約もあり、返ってきてもすぐ出て行くほど。
一体全体何故これが??という感じだけど、
逆にこのシリーズに手が延びる理由がわかれば、
子どもの読書傾向を知る上で大いに役立つ。


で、自分なりに分析してみると、




(1)本が薄いので手に取るのに抵抗が無い
(2)収録作品が短く、忍耐強く読まなくても良い
(3)字が大きく読みやすい
(4)キーワードが子どもの心に響く





この辺りではなかろうかと。
(1)(3)は名作に限ったことではないけど、
「分厚さ」と「字の細かさ」が子どもたちにとっては
かなりの抵抗になっていることが多い。
「そんな分厚いの読まれへん〜」「字がちっちゃくて読まれへ〜ん」
という声は良く耳にする。
その点、このシリーズは1冊が150ページほどで、
手に持っても全く分厚いとは感じない。
というか日本名文学作品集の重厚さなど微塵も感じさせないほどの薄さ。
この薄さが名作ものへの抵抗感を減じている効果は大きい。


(2)もまた長編・名作ものの抵抗感を減らすのに一役かっている。
長編ものはどうしても継続して読むのが難しい子が多い。
その点短い話がたくさん入っていると朝の読書なんかでぱっと読めたり、
図書の時間でも1時間に多くの話が読めたりするので、
「読んだ」という達成感を感じ易いし、継続して読むのも苦にならない。
もちろん長編ものではないことのデメリットもあるけれど、
名作ものへの導入としてのメリットの方がむしろ
このシリーズの役割としては大きいのでこれはこれで十分アリだと思う。


そして(4)が実は一番大事なポイントのように思う。
今日図書室では、


「『恋』は今すぐ借りられるで!」


「『不思議』はオレ借りるから予約したら?」


という会話が飛び交っていた。
このシリーズの各巻書名は正式には「不思議がいっぱいあふれ出す!」とか、
「恋って、どんな味がするの?」とかなんですが、
表紙には「不思議」「恋」の字が大書されていて、
それがキーワードとして目につき頭に入りやすいようになっている。
どんな話が入っているかも視覚的にわかりやすい。
装丁ももちろん綺麗で、実はこの「パッと見てすぐわかる」
というのが子どもたちにとって一番効果的に働いているように思える。
綺麗な絵より内容がすぐわかる装丁の方が実は
子どもたちにとっては大事なのかもしれない。



とまぁ、こんな感じでただいま分析しております。
しかし「キーワード」で本を呼んでるのにも驚いたけど、
この会話にも今日は驚いたなぁ。


「あ、こっちも『芥川龍之介』入ってるで!」


「『菊池寛』もや!『菊池寛』よく入ってるなぁ!」


まさかウチの図書室でこんな会話が聞けるとは。
ちょっと鳥肌立った。